第60巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
頭蓋内異型性髄膜腫の肺転移の1例
木村 正樹1, 神山 幸一1, 臺 勇一2筑波記念病院 1呼吸器外科, 2病理科
背景.髄膜腫は原発性頭蓋内腫瘍の中では頻度が高い腫瘍である.一般的には良性腫瘍と考えられているが,頭蓋外臓器に遠隔転移を起こすことが稀にある.症例.54歳男性.健診で胸部異常陰影を指摘され精査目的で外来を受診した.8年前に異型性髄膜腫に対し他院で開頭手術と補助放射線治療が行われた.その後,頭部皮下組織に再発を繰り返し3度の摘出手術が行われている.胸部CTで左肺S9に大きさ15 mmの境界明瞭な結節と,右肺S1に大きさ5 mmの小結節を指摘された.左肺の結節を胸腔鏡下に切除し,病理組織検査および免疫染色化学検査で異型性髄膜腫の肺転移と診断された.結論.頭蓋内腫瘍の既往歴を有する患者の胸部異常陰影では,髄膜腫の肺転移を鑑別診断に加える必要がある.
索引用語:髄膜腫, 肺転移, MIB-1 labeling index
受付日:2019年3月1日
受理日:2019年10月28日
肺癌 60 (1):38─42,2020