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第60巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌ゲノム医療のアップデート―末梢血由来cell-free DNA解析技術の臨床的有用性と今後の展望―

後藤 悌1
1国立がん研究センター中央病院呼吸器内科

肺癌治療においては,遺伝子異常を標的とした分子標的治療が既に実臨床で行われ,新たな分子標的治療薬も開発されている.肺癌患者の多数の遺伝子を同時に調べ,遺伝子変異を明らかにすることにより,患者個々の病態に合わせて診療を行う肺癌ゲノム医療が日本でも実践されている.近年,DNA解析機器の技術革新により,微量のDNAから正確に遺伝子変異を検出することが可能になり,末梢血,尿や唾液などの体液を用いて癌の診療を行うリキッドバイオプシーが癌ゲノム医療において注目されている.リキッドバイオプシーのなかでも,患者の末梢血中に存在するcell-free DNA(cfDNA)を解析する医療技術は,肺癌の診断や予後予測に有用なバイオマーカーになる可能性が多くの研究で検討されている.本総説では,cfDNAおよびデジタルPCRと次世代シークエンサーによるcfDNA解析技術の進歩について概説するとともに,このcfDNA解析技術を肺癌の早期診断,肺癌治療薬の選択,肺癌治療薬の効果予測に応用しようとする最新の研究結果を解説した.また,cfDNA解析技術を肺癌治療に応用するうえでの今後の課題と展望についても言及した.
索引用語:Cell-free DNA, リキッドバイオプシー, 肺癌ゲノム医療, デジタルPCR, 次世代シークエンサー

受付日:2019年12月26日
受理日:2020年2月13日

肺癌 60 (2):90─98,2020

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