第60巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
ペムブロリズマブ投与によりB型肝炎急性増悪をきたしたHBs抗原陽性肺腺癌の1例
青山 昌広1, 林 かずみ1, 二村 圭祐1, 高嶋 浩司1, 指尾 豊和1, 谷川 吉政11JA愛知厚生連豊田厚生病院呼吸器内科
背景.免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)による様々な免疫関連の有害作用が知られているが,一方でICI投与においてのB型肝炎対策については確立していない.症例.54歳女性.肺腺癌で初回化学療法の治療前から経過中,B型肝炎のスクリーニングを行っていなかった.再発のためペムブロリズマブ(pembrolizumab)を投与したところ,急性肝障害を発症した.HBs抗原陽性が判明し,核酸アナログを開始し肝障害は幸い重症化せず速やかに改善した.機序としてPD-1抗体の投与により誘導された特異的T細胞が,B型肝炎感染肝細胞を攻撃して肝障害が出現した可能性が考えられた.改善後にペムブロリズマブ投与を再開し,2年以上再発なく治療を継続している.結論.ICIはB型肝炎の急性増悪を起こし得る.投与に際し,単独投与も含めB型肝炎スクリーニングが重要であることを示す教訓的な事例であった.
索引用語:ペムブロリズマブ, Programmed cell death-1(PD-1), 非小細胞肺癌, B型肝炎
受付日:2019年11月20日
受理日:2020年1月20日
肺癌 60 (2):115─119,2020