タイトル
第60巻第2号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

坂井 修二
東京女子医科大学画像診断学・核医学講座

現在,本邦はCOVID-19禍の真っ只中で,私が働く東京では,発熱や風邪症状患者の受診先が見つからないとか,三次救急患者の受入れ先の制限などがすでに発生している.感染症指定医療機関は言うまでもなく,それ以外の多くの中核病院もCOVID-19患者の受け入れをすでに開始したり,これから受入れの準備を行っている.一方で,これら医療機関では連日手術室で担癌患者の手術が施行され,従来の総合病院としての機能維持も並行して行わなければならない.病院全体のストレスはすごいことになっている.このような時においても,肺癌の診療と研究をしっかり継続することの重要性も感じている.多くの学会や研究会が中止や延期となったり,Web開催に変更となったりしている中,今回の編集を通じて本誌がその担い手とならなければいけないことも痛感した.今回の号では,INVITED REVIEWとして,以下の3編が掲載され,どれもtimelyな話題である.Liquidbiopsyに関しては次世代シークエンサーを用いた網羅的解析や治療効果判定などの可能性,間質性肺炎合併非小細胞肺癌の治療戦略では,薬物療法に重点を置いた分析が行われている.最後の病理診断におけるデジタル化とAIの現状では,ホールスライドイメージがもたらす遠隔診断の可能性やAIの現状をわかりやすく解説されている.REVIEW ARTICLEとして,末梢血由来のcell-free DNA解析技術では,この技術をPrecision Medicineにどのように応用するか解説されている.そして,今回は6編の症例報告も掲載された.この場を持ちまして,これら論文を査読いただきました多くの先生方に感謝いたします.本号は肺癌診療の現状を映し出す大変良い鏡になったと思います.

肺癌 60 (2):169─169,2020

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