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第60巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
オシメルチニブ投与中に器質化肺炎像の出現と自然消退を認めた肺腺癌の1例
伊藤 徳明1,2, 尾下 豪人1, 妹尾 美里1, 船石 邦彦1, 三玉 康幸1, 奥崎 健11三原市医師会病院内科, 2広島大学病院呼吸器内科
背景．近年，オシメルチニブ投与中にtransient asymptomatic pulmonary opacities（TAPOs）と呼ばれる予後良好の肺病変を高頻度に認めることが報告されている．症例．76歳の男性が肺腺癌に対してオシメルチニブを投与され，良好な治療経過を得ていた．36週目に無症候性の肺浸潤影が出現し，経気管支肺生検の病理学的検査では器質化肺炎に合致する所見であった．呼吸状態の悪化がみられず，患者が継続を強く希望したため，オシメルチニブを慎重に継続したところ，9週間後に浸潤影は消退した．結論．本症例はオシメルチニブ継続投与にも関わらず自然消退した経過からTAPOsが疑われた．TAPOsは重篤な薬剤性肺障害の初期段階との鑑別が難しく，肺癌診療における重要な臨床課題である．
索引用語：一過性無症候性肺陰影, オシメルチニブ, 薬剤性肺障害, 器質化肺炎
受付日：2020年2月28日
受理日：2020年4月8日
肺癌 60 (3)：202─206，2020
