タイトル
第60巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

健診異常による指摘から3ヶ月で急速に増大した類上皮血管肉腫の1例

中本 可奈子1,2, 濵井 宏介2, 棚橋 弘貴2, 谷本 琢也2, 庄田 浩康2,3, 石川 暢久2
1広島市立舟入市民病院内科, 2県立広島病院呼吸器内科, 3広島市立広島市民病院呼吸器内科

背景.血管肉腫は全肉腫の1~2%を占め,なかでも上皮様細胞によって構成される類上皮血管肉腫は極めてまれである.その予後は不良であり確立された治療法はない.症例.56歳,男性.2017年2月に健診の胸部X線写真で異常陰影を指摘された.5月に前医で全身造影CTを施行され,右胸腔内腫瘤と胸腹水貯留,多発肝腫瘍,右副腎腫大を指摘された.胸腹水細胞診で腺癌が疑われ,気管支鏡検査を施行されたが確定診断が得られず,精査加療目的に当院に転院した.右胸腔内腫瘤および右副腎からCTガイド下生検を施行したが,全身状態が急激に悪化し転院第12病日に死亡した.病理診断でAE1/AE3,CAM5.2,vimentin,Factor-VIII related antigenが陽性であり,類上皮血管肉腫と診断された.結論.健診での異常指摘から3ヶ月で急速な転帰をたどった類上皮血管肉腫の1例を経験した.類上皮血管肉腫は他の癌腫との鑑別に苦慮することが多く,急激に増大する腫瘍では本症例も念頭に置き,特に上皮系,間葉マーカーが陽性の腫瘍は積極的に血管内皮マーカーも免疫染色に加える必要があると考える.
索引用語:類上皮血管肉腫, 血胸, CTガイド下生検, 免疫染色

受付日:2019年11月7日
受理日:2020年4月17日

肺癌 60 (3):207─211,2020

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