タイトル
第60巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌手術前後就労状況の検討

能勢 直弘1, 森 浩貴1
1宮崎県立延岡病院呼吸器外科

目的.肺癌手術症例における就労状況や術後の職場復帰に関する研究は極めて少ない.本研究では,肺癌に対する手術前後の就労状況を明らかにすることを目的とした.方法.2016年8月から2018年10月までに当院で根治的肺癌手術を行った112例を対象とし,手術時の就労状況,術後の復職状況を調査した.結果.年齢39~89歳,男性67例,女性45例であった.112例中43例(38.4%)が手術時に就労しており,うち37例(86.0%)が術後に復職した.病理病期0~IB症例はIIB~IVAに比べ術後1ヶ月以内の復職率が有意に高かった(43.3% vs. 7.7%,p=0.0329).復職した37例のうち,病理病期IIB~IVAの10例中9例でプラチナ製剤を含む術後補助化学療法が行われた.プラチナ製剤を含む術後補助化学療法が行われた症例では,それらが行われなかった症例に比べて術後~復職までの期間が長かった(中央値:プラチナ製剤123日,UFT 41日,補助化学療法なし30日).結論.8割以上の症例で肺癌術後に復職可能である.しかし,術後早期の復職はプラチナ製剤を含む術後補助化学療法施行例では困難である.
索引用語:肺癌, 就労状況, 術後復職

受付日:2019年12月11日
受理日:2020年4月17日

肺癌 60 (4):314─318,2020

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