タイトル
第60巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

学校検診で発見された若年ALK融合遺伝子陽性肺癌の1切除例

三澤 賢治1, 三島 修1, 高田 宗武2, 牛山 俊樹3, 下条 久志4, 小口 和浩5, 小泉 知展6
相澤病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3相澤健康センター, 4病理科, 5放射線画像センター, 6信州大学医学部包括的がん治療学

背景.Echinoderm microtubule-associated protein-like 4-anaplastic lymphoma kinase(EML4-ALK)は,2007年に同定された融合遺伝子で,その産物であるALK融合タンパクは強力な癌化能を示す.ALK融合遺伝子陽性肺癌の臨床的特徴として若年発症がある.今回,10歳代という若年者のALK融合遺伝子陽性肺腺癌症例を経験したので報告する.症例.15歳,女性.学校検診の胸部X線検診で異常を指摘され当院紹介となった.胸部X線およびCTで右肺上葉に長径36 mmの腫瘤影を認め,気管支鏡検査にて肺腺癌と診断.胸腔鏡下右上葉切除術およびリンパ節郭清を施行した.病理診断は高分化肺腺癌pT2aN0M0,pStage IBであった.免疫染色およびFISH法にてALK融合遺伝子陽性を確認した.術後6か月の胸部CTで再発所見は認めていない.結論.今回我々は,10歳代に発症した若年ALK肺癌の切除症例を経験した.若年者,特に10歳代においても肺癌が発症する可能性があることを考慮する必要があると考えられた.
索引用語:若年者肺癌, EML4-ALK遺伝子, 肺腺癌

受付日:2020年3月3日
受理日:2020年4月17日

肺癌 60 (4):330─334,2020

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