タイトル
第60巻第5号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ペムブロリズマブ療法後に急性視神経炎を発症した非小細胞肺癌の1例

小川 操希1, 立石 遥子1, 鈴木 博貴2, 冨田 勇樹1, 宮﨑 幹規1, 佐野 正明3
1名古屋記念病院呼吸器内科, 2名古屋第二赤十字病院呼吸器内科, 3名古屋記念病院胸部外科

背景.ペムブロリズマブによる免疫関連有害事象で,急性視神経炎の報告は稀である.症例.71歳男性,術後再発の肺扁平上皮癌に対してペムブロリズマブ療法を行った.腫瘍縮小効果は得られていたが,9コース施行後に右視力の低下を自覚した.矯正視力低下,相対性求心性瞳孔反応欠損,限界フリッカー値の低下,視野狭窄,光干渉断層計において視神経乳頭腫脹を認め,急性視神経炎と診断された.2週間後には左眼にも同様の所見がみられた.ペムブロリズマブによる有害事象が疑われ,投与を中止した.急性視神経炎に対して副腎皮質ステロイドの局所投与を行い,限界フリッカー値の改善と矯正視力の若干の回復を認めた.まとめ.ペムブロリズマブによる視神経炎の報告は極めて稀である.視力の低下や視野障害,眼痛などがみられた際には,ペムブロリズマブの副作用も鑑別に挙げることが重要であり,早期に適切に治療し,失明を防ぐ必要がある.
索引用語:急性視神経炎, ペムブロリズマブ, 非小細胞肺癌, 免疫関連有害事象, 免疫チェックポイント阻害薬

受付日:2020年2月6日
受理日:2020年5月27日

肺癌 60 (5):385─389,2020

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