タイトル
第60巻第5号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

びまん性肝転移によって重篤な肝障害を呈した小細胞肺癌に対し,早期化学療法で救命し得た1例

森本 健司1, 森本 吉恵1, 吉田 理愛2, 伊達 紘二2, 河野 秀彦2, 髙山 浩一1
1京都府立医科大学呼吸器内科, 2京都中部総合医療センター呼吸器内科

背景.小細胞肺癌は肝転移を来しやすいが,重篤な肝障害を呈するびまん性肝転移を呈することは少ない.重篤な肝障害を来す症例の予後は極めて不良で,化学療法を施行できる症例は稀である.症例.61歳男性.腹部膨満感を主訴に受診した.採血で著明な肝機能障害と,胸腹部造影CTで左肺下葉に結節と縦隔リンパ節腫大,びまん性結節を伴う肝腫大を指摘された.縦隔リンパ節の超音波気管支鏡ガイド下針生検を実施し,小細胞癌と診断された.シスプラチンとエトポシドの併用療法が奏効した.治療後のCTで肝臓は肝硬変様の形態変化を呈しており,他の原因の否定により,偽性肝硬変(Pseudocirrhosis)と判断した.肝硬変に伴う合併症に注意しながら,病勢進行まで化学療法を継続できた.結論.早期診断と化学療法は,肝転移による重度の肝障害を伴う小細胞肺癌の治療に有用である.
索引用語:肝腫大, びまん性肝転移, 小細胞肺癌, 偽性肝硬変

受付日:2020年5月1日
受理日:2020年6月1日

肺癌 60 (5):396─400,2020

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