タイトル
第60巻第5号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

中村 廣繁
鳥取大学医学部 呼吸器・乳腺内分泌外科学分野

この秋もCOVID-19の影響により,多くの学会がWeb開催となり,従来の対面型学会が恋しい昨今です.Web学会におけるオンディマンドの視聴は,便利なようで自主性が大切で,いつのまにか期限切れだったというのは恐らく私だけではないと思います.さて,コロナ禍で学会誌「肺癌」への論文投稿数が激減するのではと心配されるところですが,事務局によると緊急事態宣言や激務の中でも,例年とほぼ同様の数で推移しているそうで,皆さまのご努力に頭の下がる思いです.その中で本号ではreview論文2報,症例報告9報が掲載されています.Review論文として園田先生の「呼吸器細胞診Update」では,細胞診の利用範囲の拡大と有用性が示され,渡部先生の「進行期扁平上皮非小細胞肺癌の新たな治療戦略」では,新規治療薬が増えた扁平上皮癌に対して臨床試験のレビューと今後の治療戦略の展望が述べられおり,大変参考になります.症例報告は免疫チェックポイント阻害剤関連3報,EGFR-TKI関連2報,胸腺腫関連2報,小細胞肺癌治療関連1報,転移性腫瘍関連1報です.いすれも興味深く,日常臨床における著者らの苦心と洞察力の賜物となっています.査読をしながらいつも思うのは,起承転結の形で筋が通っている論文は気持ちが良いということです.その観点では常に懇切丁寧なご指導をしていただいている査読担当の先生方に厚く御礼申し上げます.論文を読んで勉強することは究極のオンディマンド学習です.期限切れはありませんが,時に賞味期限は感じます.対面情報が得にくいコロナ時代に,是非学会誌「肺癌」でタイムリーに知識の整理とアップデートをしていただきたいと思います.会員の皆さまのご健勝を心より祈念しております.

肺癌 60 (5):434─434,2020

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