第60巻第7号目次 | Japanese/English |
Full Text of PDF (456K) Article in Japanese |
─ 原著 ─
免疫チェックポイント阻害剤の効果と末梢血白血球分画の関係
藤本 栄1, 湊 浩一1, 小野里 良一2, 藤田 敦2群馬県立がんセンター 1呼吸器内科, 2呼吸器外科
目的.肺癌患者の腫瘍微小環境(TME)の免疫状態が免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の効果に影響している.末梢血白血球分画とTMEでの腫瘍浸潤白血球分画との関係を文献的に調べ,末梢血白血球分画でICIの有効な免疫状態を探索した.方法.2016年2月~2019年10月までに当院にてICI単剤を投与された非小細胞肺癌83症例において,ICI投与時(Day 1)とICI投与後42日(Day 43)の末梢血白血球分画を無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)に対してCox回帰解析を行った.結果.Day 1の末梢血において,好酸球数が高いほどPFSを有意に良好にし,単球数が高いほどPFSとOSを有意に不良にした.Day 43の末梢血において,好酸球数とリンパ球数が高いほどPFSとOSを有意に良好にし,好塩基球数と単球数が高いほどPFSとOSを有意に不良にした.Day 1に比べDay 43の末梢血好中球数が高いほど,PFSとOSを有意に不良にした.結論.ICI治療の効果と末梢血白血球分画は関連している.
索引用語:免疫チェックポイント阻害剤, 好酸球, 好塩基球, 単球, リンパ球
受付日:2020年6月3日
受理日:2020年8月25日
肺癌 60 (7):958─965,2020