第60巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
悪性胸膜中皮腫診断におけるセルブロックを併用した胸水細胞診の有用性についての単一施設後ろ向き研究
橋本 昌樹1, 結城 美智子2, 中道 徹1, 中村 晃史1, 黒田 鮎美1, 松本 成司1, 近藤 展行1, 佐藤 鮎子2, 辻村 亨2, 長谷川 誠紀1兵庫医科大学 1呼吸器外科, 2病理学分子病理学部門
目的.悪性胸膜中皮腫(MPM)の胸水細胞診にセルブロック(CB)が行われるようになってきたが,その有用性は十分に検証されていない.方法.2018年1月から同年12月の間にMPMを疑い全身麻酔下胸膜生検が施行された44例のうち,生検前にCBを併用した胸水細胞診が行われた25例を対象とし,胸膜生検の診断結果とCBを併用した胸水細胞診の判定結果を後ろ向きに比較した.結果.25例中,22例は胸膜生検でMPMと診断され,3例で悪性所見は認めなかった.MPMと診断された22例のうち18例は胸水細胞診で悪性細胞を認めpositiveとされたが,残りの3例は異型細胞を認めたが悪性と断定できずsuspiciousと,1例は異型細胞を認めずnegativeと判定された.胸膜生検で悪性所見を認めなかった3例は胸水細胞診でもnegativeと判定されていた.MPM診断におけるCBを併用した胸水細胞診の感度は81.8%(18/22),特異度100%(3/3),陽性的中率100%(18/18),陰性的中率42.9%(3/7)であった.結論.MPM診断においてCBを併用した胸水細胞診は有用である.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, 胸膜生検, 胸水細胞診, セルブロック
受付日:2020年4月21日
受理日:2020年9月14日
肺癌 60 (7):972─978,2020