タイトル
第61巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

殺細胞性抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬併用療法の長期奏効後に免疫関連神経障害としてのギランバレー症候群を発症した1例

四十坊 直貴1,2, 角 俊行1,2, 鎌田 弘毅1,2, 山田 裕一1, 中田 尚志1, 森 裕二1, 千葉 弘文2
1函館五稜郭病院呼吸器内科, 2札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座

背景.免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)は非小細胞肺癌の標準治療で,様々な免疫関連有害事象の報告がある.免疫関連神経障害(neurological immune-related adverse event:nAE)は稀で,報告例は少ない.症例.64歳男性.肺腺癌cT3N3M0,Stage IIICと診断し,初回治療でシスプラチン,ペメトレキセドおよびペムブロリズマブを開始した.最良効果は部分奏効で,ペメトレキセドおよびペムブロリズマブで維持療法を継続した.6サイクル施行後,胸部X線写真で左上肺野に浸潤影を認め,免疫関連肺障害を疑った.休薬と対症療法では肺陰影は増悪し,プレドニゾロン(prednisolone:PSL)の加療開始で浸潤影は改善し,PSLを漸減した.PSL漸減中に四肢脱力,感覚障害が出現しnAEを疑った.精査でギランバレー症候群と診断した.ステロイドパルス療法で感覚障害は軽快も,四肢脱力は残存した.大量免疫グロブリン療法施行で四肢脱力も改善した.結論.nAEはICI投与後早期に多いが,投与早期以降も発症の可能性があり注意を要する.
索引用語:非小細胞肺癌, 免疫関連神経障害, ギランバレー症候群, 殺細胞性抗がん剤と免疫チェックポイント阻害薬の併用

受付日:2020年8月3日
受理日:2020年9月29日

肺癌 61 (1):24─29,2021

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