タイトル
第61巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺門リンパ節腫大で発症した小細胞肺癌の1例

上村 豪1, 上田 和弘2, 丸山 広生2, 今村 智美2, 柚木 健太朗2, 徳田 泰裕2, 森園 翔一朗2, 今村 信宏2, 野中 裕斗2, 佐藤 雅美2
1鹿児島共済会南風病院呼吸器外科, 2鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器外科学分野

背景.原発巣が指摘できず肺門・縦隔リンパ節腫大で発見される小細胞肺癌の報告がある.今回,T0N1M0小細胞肺癌の症例を経験した.症例.61歳の男性で,8年前に中部食道癌に対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:endoscopic submucosal dissection),また5年前にも胃癌に対しESDを施行されている.病理結果で胃癌は内視鏡的に完全切除できた.しかし,食道癌は壁深達度から追加切除が望まれたが,経過観察を希望された.その経過中に,左主気管支周囲リンパ節が腫大した.ESDを施行した中部食道癌の近傍であり,当初は食道癌転移が示唆された.中部食道を含め,その他に病変を認めず診断も兼ねて切除の方針とした.手術は,胸腔鏡下に左主気管支周囲リンパ節を摘出した.病理結果は小細胞肺癌のリンパ節転移と診断された.画像上・内視鏡的にも明らかな原発巣はなく,肺原発と仮定すると,T0N1M0小細胞肺癌と判断した.結論.肺門リンパ節腫大で発症した小細胞肺癌の1例を経験した.今後は化学療法を含めた追加治療が必要と考える.
索引用語:原発不明癌, T0小細胞肺癌

受付日:2020年7月14日
受理日:2020年10月22日

肺癌 61 (1):35─39,2021

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