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第61巻第2号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

肺癌診療アップデート:免疫チェックポイント阻害薬(1次治療の考え方)

駄賀 晴子1
1大阪市立総合医療センター腫瘍内科

EGFR/ALK変異陰性の進行非小細胞肺癌(NSCLC)の1次治療は従来プラチナ併用療法が中心であったが,免疫チェックポイント阻害薬の登場により大きな変革を認めている.PD-L1(TPS)≧50%のEGFR/ALK変異陰性未治療進行NSCLCを対象としたペムブロリズマブ単剤とプラチナ併用療法の比較試験において,ペムブロリズマブ単剤の有意なPFSとOSの延長が示され,その後,免疫チェックポイント阻害薬を含む併用療法の有効性を示す複数の試験結果が報告されている.免疫療法はドライバー遺伝子陰性進行NSCLCにおいて重要な治療選択肢となっているが,現時点では個々の症例にどのレジメンが最も有用であるかの明確な指標はなく,バイオマーカーも確立されていない.このため実臨床においては患者背景やPD-L1の発現状況,各々のレジメンの特徴や有害事象などを考慮した治療選択が必要となっている.免疫チェックポイント阻害薬の長期的な有益性を予測するマーカーを確立することは重要な課題である.
索引用語:非小細胞肺癌, 免疫チェックポイント阻害薬, PD-L1, 複合免疫療法, 免疫関連有害事象

肺癌 61 (2):88─94,2021

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