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第61巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌診療ガイドライン2020年改訂版―課題と将来―

滝口 裕一1, 瀬戸 貴司2, 野崎 要3, 長谷川 一男4, 森田 智視5, 守田 亮6, 二宮 貴一朗7, 樋田 豊明8
1千葉大学大学院医学研究院臨床腫瘍学, 2国立病院機構九州がんセンター呼吸器腫瘍科, 3国立がん研究センター東病院呼吸器内科, 4NPO法人肺がん患者の会ワンステップ, 5京都大学大学院医学研究科医学統計生物情報学, 6秋田厚生医療センター呼吸器内科, 7岡山大学大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学, 8愛知県がんセンター呼吸器内科

目的.肺癌診療ガイドラインをより発展させること.方法.2020年本学会学術集会で開催されたシンポジウムでの議論を中心に,外部評価結果なども参照しながら本ガイドラインのこれまでの経緯,長所,短所を明らかにし,今後の課題と解決策を検討する.結果.2003年に初めて作成され2011年以降は毎年改訂されている本ガイドラインは,新規性・迅速性に定評がある.外部評価でも科学的妥当性に高い評価を得ているが,外形的な表記の欠落も多く改善が必要である.分子標的治療,免疫チェックポイント阻害薬の進歩により臨床試験のあり方,解釈方法に大きな変化があり,同一条件の患者に複数の推奨も行われるようになった.治療法評価の多様化への対応も重要である.結論.課題には臨床試験の多様化,それを解釈する統計学的手法の進歩,異なる立場の価値観の多様性などが含まれる.本ガイドライン作成には広範な医療スタッフ,生物統計学者,患者が関わっているが,さらなる発展には外部評価結果を反映すること,これら多くの立場のstakeholderを交えた議論を広げることが必要である.
索引用語:肺癌, 診療ガイドライン, GRADEシステム, 外部評価, 生物統計学

肺癌 61 (3):163─170,2021

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