タイトル
第61巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

術前診断に難渋した縦隔海綿状血管腫の2例

藤元 静太郎1, 三好 圭1, 尾立 西市2, 古賀 智子1, 田村 和貴3, 八谷 泰孝2, 小田 義直4, 中村 雅史1
1九州大学大学院臨床・腫瘍外科, 2労働者健康安全機構九州労災病院外科, 3社会医療法人陽明会小波瀬病院呼吸器外科, 4九州大学大学院医学研究院形態機能病理学

背景.縦隔に発生する血管腫は比較的稀であり,全縦隔腫瘍の0.5%以下とされている.症例1.72歳,女性.健診で異常陰影を指摘され,CTで前縦隔左側に27 mmの分葉状腫瘤を認め,造影で強く均一に増強され,傍神経節腫やカルチノイドが疑われた.精査により,傍神経節腫が否定でき,手術を行った.術中所見では腫瘍は易出血性,赤色調で血管腫が疑われた.横隔神経は腫瘍表面付近を貫通していたが,腫瘍・胸膜の一部を切開して,神経を温存し,腫瘍を摘出した.症例2.64歳,男性.検診で左縦隔陰影の拡大を指摘された.CT,MRIにて前縦隔に造影効果に乏しい60 mmの腫瘤性病変を認め,胸腺腫の疑いで,拡大胸腺腫瘍摘出術を行った.左横隔神経は腫瘍の内部を走行しており,温存は困難と判断し,合併切除した.腫瘍は左腕頭静脈と強い癒着を認め,安全な切除のためにtransmanubrial approachが必要であった.結論.縦隔海綿状血管腫は多様な画像所見を呈する.術前診断は困難であり,確実な完全切除が必要である.
索引用語:海綿状血管腫, 縦隔腫瘍

受付日:2020年8月11日
受理日:2021年1月14日

肺癌 61 (3):171─176,2021

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