タイトル
第61巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

小細胞肺癌との鑑別を要した肺腺様嚢胞癌の1切除例

宮本 竜弥1, 三村 剛史1, 鍵本 篤志1, 中島 千佳1, 在津 潤一2, 倉岡 和矢2, 三登 峰代3, 北原 良洋3, 中野 喜久雄3, 遠藤 由香利4, 山下 芳典1
国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 1呼吸器外科, 2病理診断科, 3呼吸器内科, 4鳥取大学医学部附属病院病理部

背景.肺原発の腺様嚢胞癌は稀な腫瘍であり,小細胞肺癌との鑑別を要することがある.今回,小細胞肺癌との鑑別を要した肺腺様嚢胞癌の1例を経験したので報告する.症例.62歳,女性.検診で左下肺野に結節影を指摘.胸部CTで左肺下葉に20 mm大の充実性結節影を認め,気管支鏡下肺生検で小細胞肺癌と診断された(cT1bN0M0,cStage IA2).末梢病変で非喫煙者の小細胞肺癌であったが,集学的治療が必要と判断し手術の方針となった.胸腔鏡下左肺下葉切除術+リンパ節郭清を施行し,病理診断において形態上は小細胞肺癌と診断された.しかし,一部に腺様嚢胞癌の混在も疑われたため,免疫組織化学染色を追加した結果,肺腺様嚢胞癌と最終病理診断された.結論.肺腺様嚢胞癌は小細胞肺癌と形態学的に類似することもあるが,両者の治療法は全く異なる.臨床的には小細胞肺癌が考えにくい場合は,免疫組織化学染色を追加し,鑑別を十分に行う必要があると考えられた.
索引用語:肺腺様嚢胞癌, 小細胞肺癌, 鑑別診断, 免疫組織化学染色

受付日:2020年12月9日
受理日:2021年2月8日

肺癌 61 (3):189─194,2021

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