第61巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
METを標的とした肺がん治療の展望
内藤 智之1, 白石 英晶1, 藤原 豊21三井記念病院呼吸器内科, 2愛知県がんセンター呼吸器内科部
近年,MET(mesenchymal-epithelial transition)遺伝子エクソン14スキッピング変異や,MET遺伝子増幅をターゲットにした様々な治療薬が開発されている.特にMET遺伝子エクソン14スキッピング変異を有する進行期非小細胞肺がんに対して,MET阻害薬であるテポチニブ(VISION試験)とカプマチニブ(GEOMETRY mono-1試験)が有効性を示し,2020年に保険収載された.また,サボリチニブやクリゾチニブなどのMET阻害薬や,Sym01やテリソツズマブベドチンなどのMETを標的とする抗体混合物も新たな治療戦略として注目されている.MET阻害薬治療後の耐性変異としては,MET遺伝子の変異を起こすOn-target変異や,EGFRやKRASなどに変異を起こすOff-target変異が報告されており,耐性克服についても検討されている.本稿はMETの生物学,METをターゲットとするバイオマーカーと治療薬,MET阻害薬の耐性変異に関してレビューするとともに,今後の治療戦略を展望する.
索引用語:非小細胞肺がん, MET阻害薬, MET遺伝子エクソン14スキッピング変異, 耐性変異
肺癌 61 (4):273─281,2021