タイトル
第61巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (1200K)
Article in Japanese

─ 総説 ─

肺癌の画像診断におけるAIの現状と可能性

木戸 尚治1
1大阪大学大学院医学系研究科人工知能画像診断学共同研究講座

肺癌の画像診断にコンピュータを用いる研究は以前から行われてきたが,肺癌の画像診断支援においては多様な陰影に対して,その特徴量を適切に設計することの困難さから精度の高いコンピュータ支援診断(computer-aided diagnosis:CAD)システムを開発することは容易ではなかった.しかし,第3次AIブームの中核技術である深層学習の登場で,これまでより高精度で汎用的なCADシステムを開発することが可能となり,肺癌の検出や鑑別などのCADに対する期待が高まっている.また,画像以外の情報と画像情報を統合するradiomicsやradiogenomicsなどの研究も活発化している.多くの企業によるCADシステムの開発も活発であるが,まだ十分に実用的であるとはいえない.課題のひとつとしてAIが診断に至る過程を説明できないという問題があり,説明可能なAIの研究が重要視されている.5年前には放射線科医がAIに取って代わられる可能性が盛んに議論されていたが,現状はむしろ放射線科医の不足が問題化している.今後,肺癌の画像診断においてAIが有用性を発揮するためには,AI開発の技術面だけでなく,それを受け入れる医師の対応が求められている.
索引用語:人工知能(AI), 深層学習, 機械学習, コンピュータ支援診断, Radiomics/Radiogenomics

肺癌 61 (4):282─288,2021

ページの先頭へ