タイトル
第61巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

眼球転移を認めた原発性肺腺癌の1例

嘉島 相裕1, 池澤 靖元1, 有里 仁希1, 河井 康孝1, 北谷 智彦2
王子総合病院 1呼吸器内科, 2眼科

背景.原発性肺癌の転移臓器としては脳,肺,骨,副腎などが多いといわれているが,眼球転移の報告は非常に稀である.組織型としては腺癌が多いと報告されており,眼症状を呈する場合の予後は短いことが知られている.今回我々は,肺腺癌の術後に眼球転移での再発を認めた症例を経験したため報告する.症例.72歳女性.X年11月に胸部異常影のために当科へ紹介受診した.精査の結果肺腺癌の診断となり,X+1年2月に胸腔鏡下左下葉切除およびリンパ節郭清術を施行した.手術検体の病理診断はadenocarcinoma,pT1cN1M0 Stage IIBであった.慢性心不全を合併していたため術後補助化学療法は施行せずに外来で経過観察していたが,X+1年8月の定期受診時に左眼球の突出および疼痛を認め,CTでは縦隔・鎖骨上窩リンパ節の多発腫大,左眼球腫瘍を認めた.縦隔リンパ節生検の結果,肺腺癌再発の診断となり,また他院にて摘出した左眼球腫瘍も同様の病理結果であった.結論.肺腺癌の術後再発で眼球転移を認めた症例を経験した.
索引用語:原発性肺癌, 腺癌, 眼球転移, 術後再発

受付日:2020年10月5日
受理日:2021年3月22日

肺癌 61 (4):310─314,2021

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