タイトル
第61巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

オシメルチニブ投与中の肺腺癌に発症した多発性筋炎

梶川 茂久1, 岡田 洋平2, 藤城 英祐1, 丹羽 淳一2, 伊藤 理1, 久保 昭仁1
愛知医科大学病院 1呼吸器・アレルギー内科, 2神経内科

背景.多発性筋炎に肺癌などの悪性腫瘍が合併することはよく知られているが,肺癌の治療中に多発性筋炎が発症するのは稀である.症例.58歳,女性.胸部異常陰影精査目的に来院し,肺腺癌cT4N2M1c stage IVB(骨)と診断された.EGFR遺伝子エクソン19欠失変異が検出され,オシメルチニブの投与を開始した.投与開始約1カ月後,腫瘍は縮小していたが近位筋のこわばりと高クレアチンキナーゼ(CK)血症が出現し,次第に症状が悪化した.入院して精査の結果,多発性筋炎と診断した.各々アファチニブによる化学療法とステロイド,免疫抑制剤,免疫グロブリン投与で病状は安定し,約2カ月後に退院した.結論.肺癌治療中に多発性筋炎が発症することは稀である.肺癌の治療中に高CK血症を認めた場合,多発性筋炎の存在を考慮する必要があると思われた.
索引用語:肺腺癌, クレアチンキナーゼ, 多発性筋炎

受付日:2021年2月17日
受理日:2021年4月2日

肺癌 61 (4):322─326,2021

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