タイトル
第61巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ペムブロリズマブが奏効して長期生存を得た肺紡錘細胞癌の2例

大城 雄基1, 鈴木 繁紀1, 櫻田 明久1, 濱田 賢一1, 山本 倫子2, 風間 暁男3
相模原協同病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理科

背景.肺紡錘細胞癌は原発性肺癌の0.2%ほどと稀で,予後不良である.肺紡錘細胞癌にペムブロリズマブを投与し,長期に奏効した症例を経験したので報告する.症例1.70歳,男性.左胸痛を契機に左S3に腫瘤を指摘された.胸壁浸潤を伴う左上葉肺癌(cT3N0M0)疑いで左上葉切除を施行し,肺紡錘細胞癌と診断された.術後4カ月目のCTで左腋窩リンパ節,左副腎,膵臓に再発を認め,ペムブロリズマブ投与を開始した.現在ペムブロリズマブ23コース目で膵病巣のみ残存し,SDを維持している.症例2.75歳,女性.腹痛を契機に上行結腸癌が疑われ,精査で結腸,左下葉を含む悪性腫瘍の多発遠隔転移が疑われた.肺生検では診断に至らず,症状改善目的に上行結腸切除を先行し,紡錘形悪性腫瘍と診断された.肺原発を疑い,診断的治療目的に左下葉部分切除を施行し,肺紡錘細胞癌(pT2N0M1c)と診断された.ペムブロリズマブ投与を開始し,現在29コース目で画像的に同定可能な病巣を認めず,near CRを維持している.結論.肺紡錘細胞癌は予後不良であるが,ペムブロリズマブが奏効し,長期生存が得られる症例も存在する.
索引用語:肺紡錘細胞癌, 免疫チェックポイント阻害剤, 集学的治療

受付日:2021年1月26日
受理日:2021年4月5日

肺癌 61 (4):327─335,2021

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