タイトル
第61巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (852K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

ロルラチニブの減量隔日投与が奏効した高齢者ALK陽性非小細胞肺癌の1例

廣瀬 美乃里1, 坂田 晋也1, 小松 太陽1,2, 吉田 知栄子1, 冨田 雄介1, 佐伯 祥1, 岡本 真一郎1, 坂上 拓郎1
1熊本大学病院呼吸器内科, 2天草中央総合病院内科

背景ALK融合遺伝子陽性肺癌に対する分子標的薬として,第一世代のクリゾチニブ,第二世代のアレクチニブ,セリチニブに続き,2018年には第三世代のロルラチニブが本邦でも承認された.今回,我々は二次治療のロルラチニブ投与時に有害事象が出現し,減量隔日投与にて良好な治療経過を辿った高齢ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の症例を経験した.症例.82歳男性.肺腺癌pT2aN2M0 stage IIIA,左全肺切除後5年で多発リンパ節転移,多発骨転移,胸膜播種にて再発した.ALK融合遺伝子陽性であり一次治療としてアレクチニブでの加療を開始したが,約3年6ヶ月後に再発を認め二次治療のロルラチニブに移行した.ロルラチニブ100 mg/日にて投与を開始したが幻視が出現し休薬した.幻視の改善後,ロルラチニブを50 mg/日に減量し投与を再開した.幻視が再燃したため,さらに50 mg/日のまま隔日投与に変更したところ幻視は改善し,その後も12ヶ月以上にわたり腫瘍の増大はなく経過している.結論.ロルラチニブ投与時に幻視などの中枢神経症状が出現し,50 mg/日への減量にて有害事象のコントロールがつかない症例に対して,50 mg/日の隔日投与が有効である可能性がある.
索引用語:ALK, 高齢者, 少量隔日投与, ロルラチニブ, 非小細胞肺癌

受付日:2021年2月22日
受理日:2021年4月12日

肺癌 61 (4):336─341,2021

ページの先頭へ