第61巻第4号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
EGFR遺伝子変異,ALK融合遺伝子変異同時陽性例が化学療法施行後に小細胞癌転化した1症例
村田 泰規1, 城下 彰宏1, 鈴木 北斗1, 中島 潔1, 髙橋 光太1, 池部 大2, 寺島 剛2, 竹下 正文1一宮西病院 1呼吸器内科, 2病理診断科
背景.EGFR-TKIの耐性機序として小細胞癌転化が報告されており,小細胞肺癌の化学療法が奏功することが報告されている.またEGFR遺伝子変異やALK融合遺伝子は排他的であるとされており,同時陽性例は非常にまれである.症例.64歳,男性.前院にてキャッスルマン病治療後の経過観察CTにて右上葉に結節影,右胸水を認め,右上葉切除,胸膜病変摘出,病理所見で腺癌が検出,病期診断pT4N0M1a(胸膜転移)stage IVと診断.手術検体でEGFR-L858R変異,ALK融合遺伝子変異を認め,エルロチニブ内服開始.その後,耐性化し,T790M陽性となり,オシメルチニブ投与.再発後複数の殺細胞性抗癌剤を使用し抵抗性となり,治療検討目的に当院紹介となった.3rd biopsyを行い,小細胞肺癌転化と同時にEGFR-L858R,ALK融合遺伝子変異も検出され,小細胞肺癌の治療としてアムルビシン投与し,奏功した.結論.EGFR遺伝子変異,ALK融合遺伝子変異同時陽性例が化学療法施行後に小細胞癌転化した希少な症例を経験したので報告する.
索引用語:小細胞肺癌, 腺癌, EML4-ALK遺伝子, EGFR遺伝子, EGFRチロシンキナーゼ阻害薬
受付日:2021年3月10日
受理日:2021年4月12日
肺癌 61 (4):342─346,2021