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第61巻第5号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

肺癌診療アップデート:分子標的治療(最近の進歩と残された課題)

市原 英基1
1岡山大学病院呼吸器アレルギー内科

上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の有効性が発見されて以来,NSCLCにおける個別化医療は急激に進歩をした.現在,6種類のドライバー遺伝子異常に対する阻害薬が承認されている.これらドライバー遺伝子異常に対する各阻害薬の奏効率はおよそ60~80%,無増悪生存期間は1~2年,時として30カ月を超え,NSCLCの治療を大きく変えた.一方で課題も残されている.検査対象となる遺伝子数が次々と増えている中,検体量や診断確定までの時間が有限である状況で,ドライバー遺伝子をいかにもれなく検出するのか,検査そのものの戦略確立が必要となってきている.また,近年免疫チェックポイント阻害薬では進行NSCLCの治癒の可能性も示唆されているが,分子標的治療ではいまだそのような可能性を示唆する効果は得られておらず,このことも課題に挙げられる.
索引用語:非小細胞肺癌, ドライバー遺伝子, 個別化医療, 分子標的治療, コンパニオン診断

肺癌 61 (5):377─382,2021

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