タイトル
第61巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

癌性髄膜炎によるPerformance Status低下を伴う肺腺癌に対してオシメルチニブが著効した1例

村尾 公太郎1, 森 勇樹1, 小林 智史1, 髙橋 由季乃1, 石川 立1, 浅井 悠一郎1, 池田 貴美之1, 黒沼 幸治1, 田中 康正1, 千葉 弘文1
1札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座

背景.第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であるオシメルチニブは,Performance Status(PS)が良好なEGFR遺伝子変異陽性の進行期非小細胞肺癌に対して第一選択薬となっている.しかし,PS不良例に対する一次治療としてのオシメルチニブ投与の報告は少ない.今回,癌性髄膜炎によりPSが低下した進行期肺腺癌の一次治療としてオシメルチニブが効果を示した症例を経験したため報告する.症例.79歳男性.癌性髄膜炎を伴う右中葉肺腺癌(cT4N0M1b cStage IVA)と診断した.EGFR L858R変異陽性であった.癌性髄膜炎による認知機能低下や運動失調を認め,PSは3と不良であったが,中枢神経病変に対するオシメルチニブの有効性を考慮し同薬の投与を開始した.投与後,原発巣は速やかに縮小し,認知機能や運動機能も改善がみられた.結論.腫瘍随伴症状によりPSが低下したEGFR遺伝子変異陽性の進行期非小細胞肺癌に対する一次治療として,オシメルチニブは治療選択肢の1つとなり得る.
索引用語:EGFR遺伝子変異, オシメルチニブ, PS不良, 腫瘍随伴症状

受付日:2021年3月16日
受理日:2021年6月24日

肺癌 61 (7):946─950,2021

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