タイトル
第61巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

原発性肺癌を合併した肺tumorletの2例

児島 裕一1, 竹薮 公洋1, 大畑 善寛1, 佐藤 未来1, 飛岡 弘敏2, 石川 慶大3, 川村 健3
北海道社会事業協会小樽病院 1呼吸器内科, 2病理診断科, 3呼吸器外科

背景.肺tumorletは神経内分泌細胞の過形成と考えられる腫瘤性病変で,慢性呼吸器疾患の切除肺で偶然発見される.その多くは慢性炎症性肺疾患に伴うものであるが,原発性肺癌との合併はきわめて稀である.症例.症例1は67歳女性,喀血で受診し,右下葉にCTで50 mm大の腫瘍と同側肺門リンパ節の腫脹を認めた.気管支鏡下で生検を行い,非小細胞癌と診断し,右下葉切除を行った.手術検体からsquamous cell carcinomaを一部に伴ったadenocarcinomaと診断されたが,腫瘍組織の近傍に3 mm大のtumorletを認めた.症例2は胸部単純X線写真で異常陰影を指摘され当科を受診,CTで右中葉S5に40×30 mm大の腫瘤があり,近傍に3 mm大の微小結節を認めた.右中葉切除を行い,病理組織検査を行ったところadenocarcinomaの診断となり,腫瘍近傍に3×1.5 mmのtumorletを認めた.結語.肺tumorletは悪性腫瘍との鑑別が重要となるが,希少であるため報告数も少ない.原発性肺癌を合併した肺tumorletを2例経験したため報告する.
索引用語:肺tumorlet, 肺癌, 結節, 腺癌

受付日:2021年5月12日
受理日:2021年7月22日

肺癌 61 (7):959─963,2021

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