タイトル
第61巻第7号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

横瀬 智之
神奈川県立がんセンター

2019年末に始まった新型コロナウイルス感染症に今年も振り回された一年といえるかもしれません.特にデルタ株による第5波はそれまでのピークを遙かにしのぐ感染者数をもたらしました.一方,開催に合わせたかのように減少しましたが,第62回肺癌学会(横浜)がハイブリッド形式ながら筑波大学医学医療系診断病理学教授の野口雅之教授のもと,「LUNG CANCER back to basics-肺癌を学び直そう」をテーマに無事に開催されました.複雑化,多角化した肺癌という学問を原点回帰し,臨床(外科,内科,放射線科など)と基礎(病理,分子生物学,免疫学など)が一堂に会すことでそれぞれの方向性を確かめ,新たな道筋の発見や,領域を超えて融合し,新しい学問を形成するという趣旨に沿う以上の成果が得られたのではないかと思います.本学会では日本肺癌学会の2021年肺癌診療ガイドラインも学会当日に発表され,RET阻害剤のような新規分子標的治療薬などが盛り込まれました.また,新たな肺癌融合遺伝子CLIP1-LTKの発表もあり,来年以降も日常臨床に多数の治療薬が間違いなく登場することでしょう.第61巻7号には,INVITED REVIEW ARTICLESとして「EGFR肺癌の基礎的理解と臨床」,「非小細胞肺癌に対する周術期治療としての免疫チェックポイント阻害薬の有用性」,「肺癌生検技術の進歩と検体採取方法の工夫」の3編が掲載され,いずれも肺癌診療に携わるものとして日々の課題を解決し,将来を見据えるために重要な論文です.また,2編のORIGINAL ARTICLES,7編のCASE REPORTS,1編のSHORT REPORTが掲載され,いずれも日常診療に有用な情報提供をして頂き,貴重な症例の解釈を学ぶ機会が得られます.更に,5支部の活動が紹介され,各支部が肺癌診療の向上を目指し日々積極的に活動されていることがわかります.本年最後となりますが,本誌執筆ならびに投稿された先生方,査読された先生方のご尽力に感謝し,新年の皆様のご健康と益々のご活躍を祈念しております.

肺癌 61 (7):1020─1020,2021

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