タイトル
第62巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

レンバチニブ増悪後にカルボプラチンとnab-パクリタキセルが著効した進行胸腺癌の1例

水田 玲美1, 福田 実1,2, 須山 隆之1, 行徳 宏1, 竹本 真之輔1, 山口 博之1, 澤井 豊光3, 入江 準二4, 芦澤 和人2,5,6, 迎 寛1
長崎大学病院 1呼吸器内科, 2がん診療センター, 長崎みなとメディカルセンター 3呼吸器内科, 4病理診断科, 5長崎大学大学院医歯薬学総合研究科臨床腫瘍学分野, 6長崎大学病院がんゲノム診療部門

背景.胸腺癌に対して本邦では保険承認の薬剤がなかったので他癌の薬剤を暫定的に使用している.2021年切除不能な胸腺癌に対してレンバチニブが承認された.症例.54歳の女性は左胸部痛を主訴に近医を受診し,前医による胸部CTで前縦隔腫瘍,左胸膜の多発結節,左胸水が認められ,外科的生検で胸腺癌(pT2N0M1a,stage IVA)と診断された.COVID-19で当院への入院困難な状況や患者希望もあり,レンバチニブを初回治療として外来で導入したが効果なく増悪し,胸痛は増強,左胸腔が胸水で満たされ危険な状態となった.2次治療としてカルボプラチンとnab-パクリタキセルを行ったところ,前縦隔,胸膜腫瘍,縦隔リンパ節は著明に縮小し,左胸水は減少し,症状も軽快した.結論.進行胸腺癌に対してレンバチニブ耐性であってもカルボプラチンとnab-パクリタキセル療法が著効した1例を経験した.レンバチニブが新規承認されたが,胸腺癌薬物療法におけるプラチナ併用化学療法は選択肢の一つとして重要であると考えられた.
索引用語:胸腺癌, レンバチニブ, Nab-パクリタキセル

受付日:2021年9月22日
受理日:2021年11月18日

肺癌 62 (2):115─120,2022

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