第62巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 総説 ─
外科治療における肺がんゲノム医療の現状と今後
枝園 和彦1,2, 豊岡 伸一2岡山大学病院 1新医療研究開発センター, 2呼吸器外科
新たなドライバー遺伝子の同定と分子標的薬の開発に伴い,非小細胞肺がんに対するゲノム検査および治療法は日々アップデートされてきた.これらドライバー遺伝子異常の検出を目的としたゲノム検査の対象は,主として薬物療法を考慮する進行・再発非小細胞肺がん患者であるため,呼吸器外科医が日常臨床でゲノム医療に接する機会はこれまで多くなかった.一方で,肺がんに対するゲノム検査が単一遺伝子検査からマルチプレックスコンパニオン診断および包括的がんゲノムプロファイリング検査へと進化する中で,呼吸器外科医が主にかかわる周術期治療の領域においても,治療の最適化,予後予測および発症予防という観点から,ゲノム検査を含むがんゲノム医療への理解の重要性が増している.本稿では,肺がんの診療を行う呼吸器外科医がかかわるゲノム医療の現状と今後の展望および課題について概説する.
索引用語:ゲノム医療, マルチプレックスコンパニオン診断, 包括的がんゲノムプロファイリング検査, 周術期治療
肺癌 62 (3):173─179,2022