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第62巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
若年男性のNUT carcinoma of the thoraxの1例
鈴木 浩介1, 北見 明彦1, 小原 淳2, 大橋 慎一1, 田中 洋子1, 氷室 直哉3, 植松 秀護1, 門倉 光隆1, 根本 哲生2, 田中 祐吉4昭和大学横浜市北部病院 1呼吸器センター, 2臨床病理診断科, 3昭和大学病院呼吸器外科, 4神奈川県立こども医療センター病理診断科
背景．Nuclear protein in testis（NUT）carcinomaはNUT midline carcinoma family member 1（NUTM1）遺伝子の転座により形成される融合遺伝子を認め，近年報告が散見される．症例．26歳男性．血痰，胸部痛の精査で，最大径約6 cmの前縦隔腫瘍を認めた．CTガイド下針生検で胸腺扁平上皮癌の診断に至りCBDCA＋PTXを4コース施行した．原発巣は縮小したが，縦隔リンパ節が増大し，姑息的放射線治療を行ったが，胸膜播種，肝転移，後腹膜転移が出現し，初診より7か月で死亡した．剖検所見は，両肺，肝臓，リンパ節（肺門，縦隔，腹腔），胸膜，横隔膜，後腹膜に病巣を認め，組織学的には未分化な成分と高分化な扁平上皮癌様成分が混在し，免疫組織学的検査でNUT，p63陽性であり，NUT carcinomaと診断された．結論．NUT carcinomaは若年者にも発症する予後不良な悪性腫瘍であり，本症例は病理解剖で診断に至った．若年者の胸部扁平上皮癌と診断された症例にNUT carcinomaが含まれる可能性が示唆された．
索引用語：NUT癌, NUT正中線癌, 胸腺扁平上皮癌, 縦隔腫瘍, 剖検
受付日：2021年12月28日
受理日：2022年2月25日
肺癌 62 (3)：227─234，2022
