タイトル
第62巻第3号目次 In Japanese

─ 編集後記 ─

編集後記

礒部 威
島根大学 呼吸器・化学療法内科

新型コロナウイルス感染症は感染対策,ワクチン,治療が進歩し,今後はしっかりとした対応を継続しながら「ニューノーマル」とは何かを探索していく時代になりました.本号には依頼総説として「外科治療におけるがんゲノム医療」と「がん悪液質診断と治療」が掲載されいずれも肺癌診療のアップデートに有用な内容となっています.総説で分子標的治療薬が遂に始動した「肺癌とKRAS」について詳細な解説が行われています.原著では「細胞診用検体による包括的遺伝子変異検査システム」いわゆる「MINtS」の高い診断能に関する報告がありました.細胞診検体が使用可能であるため,診断速度にも寄与し,従来の遺伝子診断を変える非常に重要な結果と考えられます.症例報告については,悪性心膜中皮腫,両側副腎転移によるAddison病,免疫関連腎障害,NUT midline carcinoma,COVID-19ワクチン接種後の肺血栓塞栓症,局所進行肺癌治療後の再発に対するサルベージ手術と,いずれの報告も本学術誌の読者にとっては診療の助けとなる優れた内容で,私自身も大変勉強になりました.胸部の腫瘍に関しても診断や治療は日々進歩しており,本学術誌を通じて「ニューノーマル」を会員に啓発することは,医療の均てん化,最適化につながる大変重要な作業です.本学術誌のますますの発展を祈念いたしております.

肺癌 62 (3):275─275,2022

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