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第62巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 総説 ─

小細胞肺がん・肺神経内分泌がんにおける分子サブタイプの検討

佐藤 崇1,2, 猶木 克彦1
1北里大学医学部呼吸器内科学, 2慶應義塾大学医学部呼吸器内科

近年,小細胞肺がんの分子サブタイプがASCL1,NEUROD1,POU2F3,YAP1といった細胞系統転写因子によって規定されることが報告されている.また,これら神経内分泌細胞系統因子の検討と併行して,MYCファミリー転写因子MYC,MYCL,MYCNの小細胞肺がんにおける役割も探索され,それぞれが単なるがん遺伝子ではなく神経内分泌分化のサブタイプを規定する転写プログラムをコントロールしていることが示唆されている.小細胞肺がんと同じく神経内分泌がんに分類される肺大細胞神経内分泌がんにおいては,小細胞肺がん同様に神経内分泌細胞系統因子の役割が予測されるものの,この組織型は遺伝学的にも分子病理学的にもより不均一であり,その意義に関してはさらなる研究が望まれる.肺神経内分泌がんにおける分子サブタイプ分類のトランスレーショナルな意義も検討され,免疫療法を含む薬剤への感受性の違いやサブタイプに関連した腫瘍の分化状態の多様性・可塑性が報告されている.本稿では,最近の肺神経内分泌がんの分子サブタイプ分類に関し,研究が進んできた経緯から今後の展望までを概説する.
索引用語:小細胞肺がん, 大細胞神経内分泌がん, 分子サブタイプ, 転写因子, 神経内分泌分化

肺癌 62 (4):286─291,2022

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