タイトル
第62巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

Interstitial lung abnormalitiesとオシメルチニブによる薬剤性肺障害との関連に関する検討

隅井 允彦1,2, 高山 裕介1, 角本 慎治1, 三島 祥平1, 益田 健1, 庄田 浩康1
1広島市立広島市民病院呼吸器内科, 2広島大学病院呼吸器内科

背景・目的.オシメルチニブはEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌の治療において1次治療での使用が推奨されているが,有害事象として薬剤性肺障害の発生頻度が高いことが知られている.また既存肺のinterstitial lung abnormalities(ILA)の存在が薬剤性肺障害のリスク因子となることも報告されている.そこで我々は当院での使用経験をもとにILAがオシメルチニブによる薬剤性肺障害のリスク因子となりうるか検討した.対象・方法.2018年9月から2020年9月までに当院でオシメルチニブを投与した進行期非小細胞肺癌106例について,後方視的に検討した.結果.多変量ロジスティック回帰分析により,投与前のILAの存在は有意なリスク因子であることが示された.またILAのタイプ別の検討では,subpleural fibroticの症例で重症度の高い薬剤性肺障害を認める傾向であった.結論.ILAはオシメルチニブによる薬剤性肺障害のリスク因子となりうる.特にsubpleural fibroticパターンを呈する症例では重症化リスクが高く注意が必要である.
索引用語:オシメルチニブ, 非小細胞肺癌, 薬剤性肺障害, Interstitial lung abnormalities(ILA)

受付日:2022年3月22日
受理日:2022年4月25日

肺癌 62 (4):292─298,2022

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