タイトル
第62巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌術後再発におけるPD-1/PD-L1阻害薬治療にリンパ節郭清が与える影響についての検討

松本 瞭1, 相馬 逸人1, 庄司 剛1, 片倉 浩理1, 嶋 一樹2, 高橋 珠紀2, 西岡 慶善2, 酒井 直樹2
大津赤十字病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科

目的.非小細胞肺癌治療にがん免疫療法が広く用いられるようになった.がん免疫応答において所属リンパ節でのTリンパ球のプライミングが必要と考えられている.この観点からすると,リンパ節郭清後のPD-1/PD-L1阻害薬の使用時には効果が減弱する可能性が考えられる.当院での本薬使用例でその臨床的特徴につき検討を加えた.方法.当院で2020年11月までにPD-1/PD-L1阻害薬を使用した症例を対象に,後方視的に臨床的検討を行った.結果.リンパ節郭清例は25例,非手術例は63例であった.両群における病勢制御率は10例(40%)vs 16例(25%),奏効率は6例(24%)vs 6例(9%),全生存期間の中央値は19.5ヶ月vs 10.5ヶ月(P=0.47),無増悪生存期間の中央値は8.3ヶ月vs 5.6ヶ月(P=0.86)であった.両群におけるgrade 3以上の免疫関連有害事象は4例(16%)vs 7例(11%)(P=0.5)であった.結論.非小細胞肺癌に対するリンパ節郭清を伴う治療的切除後の再発症例に対してもPD-1/PD-L1阻害薬の治療効果は非手術例と比較して劣ることはなかった.
索引用語:非小細胞肺癌, リンパ節郭清, 免疫チェックポイント阻害薬

受付日:2021年12月13日
受理日:2022年5月2日

肺癌 62 (4):304─310,2022

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