タイトル
第62巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺がん患者における石綿健康被害に対する当事者意識の現状と課題

福神 大樹1, 長谷川 一男2, 大西 幸次2, 右田 孝雄3, 栗田 英司3, 瀬戸 貴司4, 田中 謙太郎5, 澤田 慎一郎3, 鈴木 江郎3, 濱崎 晋輔6
1兵庫医科大学病院, 2日本肺がん患者連絡会, 3中皮腫サポートキャラバン隊, 4九州がんセンター, 5九州大学, 63Hメディソリューション株式会社

目的.わが国では現在,中皮腫の約2倍の発症が予測されている石綿による原発性肺がんの労災保険制度の認定が少なく,その要因として石綿ばく露の診療体制における聴取調査が確立していないことが一因であると考えた.そこで本研究では石綿肺がんの診療体制の現状と今後の課題を考察することにした.方法.肺がん患者・家族(以下,患者)に対してウェブアンケート調査を行い,石綿の健康被害や労災保険等の知識,石綿ばく露の自覚の有無等を質問した.結果.患者が知っている・把握している石綿健康被害に関する知識・情報は,石綿の性質に関する知識>健康被害に関する知識>健康被害を疑う知識・情報という順になった.結論.改善策として当事者団体の啓発活動と相談支援部門の活用による石綿ばく露聴取の体制構築が求められる.
索引用語:石綿肺がん, 診療体制, 石綿ばく露

受付日:2021年10月5日
受理日:2022年5月5日

肺癌 62 (4):311─316,2022

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