タイトル
第62巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

縦隔腫瘍として発見された脊索腫の1例

髙橋 秀悟1, 三井 匡史1, 伊豆川 翔太2, 岩井 英頌1, 藤嶋 悟志1, 矢嶋 信久3, 今井 一博4, 南谷 佳弘4
1八戸市立市民病院呼吸器外科, 2十和田市立中央病院外科, 3八戸市立市民病院臨床検査科, 4秋田大学大学院医学系研究科医学専攻腫瘍制御医学系胸部外科学講座

背景.脊索腫は,遺残した胎生期の脊索から発生すると考えられている稀な悪性骨軟部腫瘍である.仙骨部や頭蓋底部,可動脊椎に好発するが,縦隔腫瘍として傍椎体に発生することがある.症例.54歳,男性.健康診断の胸部単純X線写真で,右上肺野に異常陰影を指摘され,近医を受診.CT検査で上縦隔に45 mm大の縦隔腫瘍を認めた.手術目的に当科へ紹介され,良性の神経原性腫瘍として胸腔鏡下での腫瘍摘出術を施行.HE染色で粘液腫様組織を背景とし,空胞状の細胞質を持つ細胞の索状配列を認め,脊索腫の可能性を疑った.免疫組織化学染色でbrachyury陽性となり,傍椎体に発生した脊索腫と診断した.術後の追加治療はせず,現在も再発は認めていない.半年毎の定期検診を継続中である.結論.今回我々は,上縦隔に発生した脊索腫の1切除例を経験した.
索引用語:脊索腫, 悪性骨軟部腫瘍, 縦隔腫瘍

受付日:2022年3月7日
受理日:2022年4月18日

肺癌 62 (4):317─322,2022

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