タイトル
第62巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

細胞診検体を用いた肺がんコンパクトパネルによる次世代シーケンシングの有用性

南 大輔1,2, 瀧川 奈義夫3,4, 多田 陽郎1, 中島 康博1, 宮原 信明3, 水守 康之5, 植田 充宏6, 佐藤 慶治7, 森川 慶8, 金廣 有彦3
1社会医療法人財団聖フランシスコ会姫路聖マリア病院呼吸器内科, 2医療法人ほそや医院呼吸器内科, 3社会医療法人財団聖フランシスコ会姫路聖マリア病院内科, 4川崎医科大学総合内科学4, 独立行政法人国立病院機構姫路医療センター 5呼吸器内科, 6呼吸器外科, 7DNAチップ研究所, 8聖マリアンナ医科大学病院呼吸器内科

目的.細胞診検体で次世代シーケンシング(NGS)が可能な肺がんコンパクトパネルの有用性を検討する.研究方法.2021年12月から2022年2月までに肺癌疑い症例に気管支鏡,胸水穿刺を行い肺がんコンパクトパネルでNGSを施行した10例を後方視的に検討した.結果.10例12検体の内訳は,肺腺癌6例,肺扁平上皮癌1例,小細胞肺癌1例,腎細胞癌1例,器質化肺炎1例であった.検体は気管支擦過7検体(気管支擦過1回,生検鉗子洗浄1回),EBUS-TBNA 2検体(穿刺1回),胸水1検体(穿刺1回)で1例は同一病変に対して生検1回+気管支擦過1回,生検1回,気管支擦過1回の3検体を提出した.遺伝子解析は10例すべてで成功し,肺腺癌でEGFR L858R 1例,KRAS G12D 1例,KRAS G12V 1例,肺扁平上皮癌1例でKRAS G12Vの遺伝子変異を認めた.肺腺癌の癌性胸水5 ml(class V)とEBUS-TBNA 1回の穿刺でもNGSに十分量の核酸が得られた.結語.細胞診検体を用いた肺がんコンパクトパネルで高精度なNGSが可能である.
索引用語:肺がんコンパクトパネル, 次世代シーケンシング, 細胞診検体

受付日:2022年6月2日
受理日:2022年8月2日

肺癌 62 (7):989─995,2022

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