タイトル
第62巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺肉腫様癌に対しニボルマブ/イピリムマブ併用療法が奏効した1例

渡邉 広樹1, 村井 裕衣1, 鈴木 明日美1, 山岸 郁美1, 尾方 英至1, 宮林 貴大1, 影向 晃1, 渡部 正俊2, 阿部 徹哉1
新潟市民病院 1呼吸器内科, 2脳神経外科

背景.肺多形癌は肺肉腫様癌の亜型であり,全肺腫瘍の0.1~0.3%とされる稀な肺癌である.一般的には化学療法・放射線治療に抵抗性であり,治療法についても確立されたものはない.今回我々は,肺肉腫様癌に対してニボルマブ/イピリムマブ併用療法を行い,奏効した症例を経験したので報告する.症例.62歳,男性.現喫煙者.右下肢麻痺を主訴に受診し,CTで右肺上葉の腫瘤を,MRIで多発性脳腫瘍を認めた.右肺腫瘤に対して気管支鏡生検を行い,PD-L1低発現(tumor proportion score 10%)の肺肉腫様癌(cT3N0M1c[BRA]stage IVB)の診断が得られた.脳病変への定位放射線療法を先行した後に,ニボルマブ(360 mg/body,3週毎)/イピリムマブ(1 mg/kg,6週毎)併用療法を行ったところ,肺・脳病変ともに縮小を認め,部分奏効(PR)と判定した.忍容性は問題なかった.結論.免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は肺肉腫様癌に対する有効な治療として期待されており,またICI併用によってさらに良好な治療効果が得られる可能性がある.
索引用語:肺肉腫様癌, 免疫チェックポイント阻害薬, PD-L1, ニボルマブ, イピリムマブ

受付日:2021年11月12日
受理日:2022年7月5日

肺癌 62 (7):996─1000,2022

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