タイトル
第62巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (2575K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

小型肺癌の中枢側メルクマールとしてindocyanine greenの気管支壁局注が有用であった1例

荒木 恒太1, 平野 豊1, 林 直宏1, 松本 千晶2, 八杉 昌幸2, 池田 元洋2, 尾形 佳子2, 玄馬 顕一2, 鷲尾 一浩1
公立学校共済組合中国中央病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科

背景.視触診困難な肺腫瘍を部分切除する際にはマーキングが用いられる.Virtual-assisted lung mapping(VAL-MAP)では肺表面に複数のマッピングを置くことで,従来のマーキングよりも切除範囲をより正確にシミュレーションできる.色素にindocyanine green(ICG)を使用すれば視認性は非常に良好である.一方で,VAL-MAPは深部のメルクマールとはならず,中枢側のマージンが近接するリスクがある.我々はICGを気管支壁に局所注射し,中枢側のメルクマールに用いる方法を考えた.症例.87歳,女性.6年前に肺腺癌に対し右肺S1+2a区域切除が行われた.Ground-glass noduleが新たに左上葉に出現し,診断的治療目的に楔状切除を計画した.ICG-VAL-MAPで肺表面に3カ所のマッピングを置き,病変中枢側のB4b気管支壁にICGを局所注射した.術中には葉間から気管支壁局注ICGが確認され,深部のメルクマールに用いて楔状切除を行った.切除マージンは2.2 cm確保された.有害事象は認めなかった.結論.気管支壁局注ICGは中枢側のメルクマールとして機能し得る.
索引用語:VAL-MAP, ICG, 中枢側マーカー, 小型肺癌

受付日:2022年6月9日
受理日:2022年7月22日

肺癌 62 (7):1014─1020,2022

ページの先頭へ