タイトル
第62巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

アレクチニブによる間質性肺疾患後にブリグチニブを使用したALK融合遺伝子陽性肺腺癌の2症例

長久 裕太1,2, 角 俊行1,2, 関川 元基1,2, 武田 和也1,2, 松浦 啓吾1,2, 渡辺 裕樹1, 山田 裕一1, 計良 淑子3, 千葉 弘文2
1函館五稜郭病院呼吸器内科, 2札幌医科大学医学部呼吸器・アレルギー内科学講座, 3函館五稜郭病院病理診断科

背景.アレクチニブはALK融合遺伝子陽性肺腺癌に対して有効性や忍容性が高い薬剤であるが,有害事象の間質性肺疾患をきたした場合,治療を継続することができない.他に数種類の使用可能なALK阻害薬があるが,ブリグチニブは近年使用可能になったALK阻害薬である.アレクチニブによる間質性肺疾患後にブリグチニブで治療し得たという報告はなく,今回我々は2例を経験したため報告する.症例.2症例はいずれもALK融合遺伝子陽性肺腺癌であり,アレクチニブ開始後にそれぞれgrade 2とgrade 3の間質性肺疾患を認めた.ステロイドの全身投与で治療し間質性肺疾患の改善後にブリグチニブを開始したところ,1例では間質性肺疾患の再発なく抗腫瘍効果が得られた.高齢の1例では間質性肺疾患が再発したがブリグチニブの休薬のみで間質性肺疾患は軽快し,ブリグチニブを減量したところ間質性肺疾患の再発なく抗腫瘍効果が得られた.結論.アレクチニブによる間質性肺疾患発現例において,ブリグチニブへの変更は治療選択肢となり得る.しかしALK阻害薬に対する間質性肺疾患の既往がある患者の場合は注意深くフォローアップする必要がある.
索引用語:ALK融合遺伝子陽性肺腺癌, ブリグチニブ, アレクチニブ誘発性間質性肺疾患

受付日:2022年3月9日
受理日:2022年8月12日

肺癌 62 (7):1038─1043,2022

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