タイトル
第63巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法中にCOVID-19肺炎を発症した小細胞肺癌の1例

矢野 潤1, 高山 裕介1, 清家 廉1, 三島 祥平1, 庄田 浩康1
1広島市立広島市民病院呼吸器内科

背景.肺癌治療中に新型コロナウイルス感染症(coronavirus infectious disease, emerged in 2019:COVID-19)を発症する症例は少なくない.しかし,免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法中にCOVID-19を発症した症例報告は少ない.症例.50歳,男性.進展型小細胞肺癌に対する免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法中に発熱,食欲不振を認め,COVID-19を発症した.重症化が懸念される状況であったが,デキサメタゾンによる治療にてCOVID-19は改善し,その後肺癌治療を再開できた.結論.免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法はCOVID-19の重症化につながる可能性がある.また,COVID-19肺炎はimmune-related adverse eventsとしての肺障害と鑑別することがしばしば困難である.常にCOVID-19を念頭に置き,早期に診断し適切な治療を行うことが望ましい.COVID-19罹患後の肺癌治療再開については,残存する線維化の程度により慎重に検討すべきである.
索引用語:免疫チェックポイント阻害薬(ICI), 免疫チェックポイント阻害薬併用化学療法, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19), 小細胞肺癌

受付日:2022年5月24日
受理日:2022年9月2日

肺癌 63 (1):27─32,2023

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