タイトル
第63巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

IgG4関連疾患の合併が疑われた多発リンパ節腫大を有する肺癌の1例

髙森 聡1,2, 大泉 弘幸2, 鈴木 潤1, 渡辺 光1, 佐藤 開仁1, 塩野 知志1
1山形大学医学部附属病院第二外科, 2東大和病院呼吸器外科

背景.Fluorodeoxyglucose-positron emission tomography/computed tomography(FDG-PET/CT)検査は,偽陽性となり正確なリンパ節の評価が困難になることがある.症例.71歳,男性.対策型検診にて胸部単純X線写真での異常影を指摘され,前医の精査で右上葉肺癌,多発縦隔・右鎖骨上窩リンパ節転移(cT2aN3M0-IIIB)の疑いとなり当院内科へ紹介となった.当院での経気管支肺生検で,肺扁平上皮癌の診断がえられた.全身造影CTでは自己免疫性膵炎が疑われた.そのため血液検査を確認したところIgG4は高値であった.リンパ節への集積は偽陽性の可能性があり,右鎖骨上窩リンパ節生検を施行,転移は否定され,cT2aN0M0-IBとして手術を施行した.術後病理診断は,肺扁平上皮癌(pT2aN0M0-IB)であった.結論.FDG-PET/CTによる術前画像診断は有用であるが,過大評価になっている可能性があり,組織学的診断を怠ってはならないと考えられた.
索引用語:肺癌, 鎖骨上窩リンパ節生検

受付日:2022年6月2日
受理日:2022年9月5日

肺癌 63 (1):40─44,2023

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