タイトル
第63巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

オシメルチニブの効果が乏しかった,EGFR遺伝子変異陽性肺扁平上皮癌の2例

河野 謙人1, 中島 和寿1, 堀田 尚誠2, 津端 由佳里1, 岩橋 輝明3, 礒部 威1
1島根大学医学部内科学講座呼吸器・臨床腫瘍学, 2島根県立中央病院呼吸器科, 3島根大学医学部附属病院病理部

背景.肺扁平上皮癌では肺腺癌と比較して,EGFR遺伝子変異を伴うことは稀である.そのためオシメルチニブのEGFR遺伝子変異陽性肺扁平上皮癌に対する有効性は十分に検討されていない.症例1.72歳男性.肺腺癌術後(pT2N2M0,stage IIIA,エクソン19欠失)再発に対し,アファチニブ,エルロチニブ投与後に生検を実施した.肺扁平上皮癌への転化とT790M変異を認め,オシメルチニブを開始したが2ヶ月後に増悪した.症例2.70歳女性.肺扁平上皮癌(cT3N3M1c,stage IVB,L858R変異)と診断した.オシメルチニブを開始したが1ヶ月後に脳転移の増大を認めた.原発巣は縮小傾向であったため,全脳照射を行い,オシメルチニブを継続したが,治療開始3ヶ月後に原発巣も増大を認めた.結論.肺扁平上皮癌に対してオシメルチニブの効果は症例によっては乏しい可能性がある.
索引用語:肺扁平上皮癌, EGFR遺伝子変異, オシメルチニブ

受付日:2022年7月9日
受理日:2022年9月9日

肺癌 63 (1):52─57,2023

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