第63巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
顎骨壊死の症状出現前に骨シンチグラフィで下顎骨への集積が確認された肺癌骨転移の3例
児玉 秀治1, 吉田 正道1, 三木 寛登1, 後藤 広樹1, 増田 和記1, 寺島 俊和1, 藤原 篤司11三重県立総合医療センター呼吸器内科
背景.肺癌は骨転移を来すことが多い癌である.診断や評価に骨シンチグラフィが用いられ,治療には骨修飾薬が用いられる.骨修飾薬は重篤な有害事象として顎骨壊死を起こすことがあり注意を要する.症例1.72歳男性,肺腺癌で多発骨転移あり,ペメトレキセドとゾレドロン酸で治療中.症例2.62歳女性,肺腺癌術後再発で多発骨転移あり,オシメルチニブとデノスマブで治療中.症例3.73歳男性,肺腺癌で多発骨転移あり,オシメルチニブとデノスマブで治療中.これらの多発骨転移を伴う肺癌の3症例は,化学療法および骨修飾薬による治療中に顎骨壊死を来した.経過中に撮影した骨シンチグラフィ画像では,3例とも顎骨壊死の症状出現前の時点で下顎部に99mTcが集積していた.結論.顎骨壊死の早期発見,早期対応のため,骨修飾薬投与中に骨シンチグラフィを撮影した場合は,下顎部も注視すべきである.医科歯科連携を推進し,集積を認めた場合は早期に歯科へのコンサルテーションが望ましい.
索引用語:顎骨壊死, 骨シンチグラフィ, 骨修飾薬, デノスマブ, ゾレドロン酸
受付日:2022年8月4日
受理日:2022年10月12日
肺癌 63 (2):101─106,2023