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第63巻第3号目次 Japanese/English

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─ 総説 ─

細胞検体による肺癌ゲノム診断の現状と今後の展望

森川 慶1
1聖マリアンナ医科大学呼吸器内科

非小細胞肺癌に対する個別化医療の普及に伴い,診断時の遺伝子一括検査の重要性が増している.一方で,十分量の組織検体を採取できないケースをしばしば経験し,代替となる診断法の開発が求められていた.本邦で3番目の肺癌遺伝子パネル検査として2022年11月に薬事承認された肺がんコンパクトパネルは,細胞検体でも高い遺伝子解析成功率が報告され,高精度かつ汎用性の高い新規の次世代シークエンスパネル検査として2023年2月に発売された.擦過細胞懸濁液や針洗浄液だけでなく,胸水や心嚢水などの液性検体も,ペア検体中の悪性細胞の存在を確認することで提出可能である.組織検体を基本とした従来の手順に加え,パネル検査のための細胞検体の取扱いも標準化が求められる.細胞検体の利用により出検機会が増加することで,遺伝子変異検索の裾野が拡大し,個別化治療が広く浸透する可能性を有す.
索引用語:細胞検体, 肺がんコンパクトパネル, 次世代シークエンス, 非小細胞肺癌

肺癌 63 (3):153─160,2023

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