タイトル
第63巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

多発性骨髄腫を合併した進行肺癌に対してレナリドミド,デキサメタゾン療法とペムブロリズマブを併用した1例

中井 知帆香1, 米田 太郎1, 掛下 和幸1, 佐伯 啓吾1, 青木 剛2, 矢野 聖二3
国民健康保険小松市民病院 1呼吸器内科, 2血液内科, 3金沢大学附属病院呼吸器内科

背景.重複がんは増加傾向であるが,多発性骨髄腫に進行肺癌を合併した症例に対して,治療経験の報告は非常に少ない.症例.73歳女性,Performance Status 1.健康診断を契機に左肺上葉の腫瘤,肝腫瘤,右腸骨腫瘤を指摘された.右腸骨腫瘤性病変に対するCTガイド下骨生検の結果,多発性骨髄腫と診断し,DRd(ダラツムマブ+レナリドミド+デキサメタゾン)療法を開始した.1サイクル施行後腫瘍は全て縮小していたが,計6サイクル施行後のCT検査で縦隔リンパ節,肝腫瘍が増大していたため,肝腫瘍の肝生検を行った.非小細胞肺癌が検出され,cT1cN2M1b stage IVaの肺癌と診断した.PD-L1高発現(22C3:90~100%)であったためペムブロリズマブ(3週間毎,200 mg)による治療を追加した.2サイクルでgrade 2の両下腿浮腫を来し中止したが,腫瘍は縮小を維持している.結論.多発性骨髄腫にstage IVaの肺癌を合併した症例を経験した.本例ではそれぞれのがん種に対する薬物療法により奏効が得られた.多発性骨髄腫に進行肺癌を合併した症例にがん薬物療法を行った報告は少ないため,貴重な症例と考え報告する.
索引用語:多発性骨髄腫, 肺癌, 免疫療法, 非小細胞肺癌

受付日:2022年12月23日
受理日:2023年2月28日

肺癌 63 (3):200─205,2023

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