タイトル
第63巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

限局期ホジキンリンパ腫と肺小細胞癌との同時性重複の1例

武井 信諭1, 鈴木 幹人1, 平井 誠1, 清水 麗子1, 志満 敏行1, 原田 匡彦1, 比島 恒和2, 八木 悠3, 下山 達3, 堀尾 裕俊1
がん・感染症センター都立駒込病院 1呼吸器外科, 2病理科, 3腫瘍内科

背景.原発性肺癌に同時性重複がんが合併することは稀であり,中でも悪性リンパ腫の重複例は極めて稀である.症例.52歳,男性.CT検査で,右上葉に1.8 cm大の分葉状充実肺結節と右鼠径,外腸骨リンパ節腫大を認めた.PET-CTでは肺結節と鼠径,腸骨リンパ節にSUVmaxが9.4,4.3,5.3の集積を認めた.全身麻酔下に肺,鼠径リンパ節生検を一期的に行うこととした.肺生検を先行し,迅速病理診断で低分化癌の診断を得た.原発性肺癌と判断し,葉切除とND2a-2を追加した.その後,鼠径リンパ節生検を行った.最終的に小細胞肺癌IB期と古典的ホジキンリンパ腫IIA期と診断され,予後規定因子である肺癌への補助化学療法の後,ホジキンリンパ腫に対する化学放射線療法を行った.術後29ヶ月,両疾患とも無再発生存中である.結論.肺結節と鼠径,腸骨リンパ節腫大を契機に診断された小細胞肺癌と限局期ホジキンリンパ腫の稀な重複例を経験した.肺癌の鼠径,腸骨リンパ節転移や,骨盤内悪性腫瘍からの転移等との鑑別を要する.また,両疾患の予後や化学療法,全身状態を把握したうえでの治療方針決定が肝要である.
索引用語:小細胞肺癌, ホジキンリンパ腫, 重複がん, リンパ節腫大, 鼠径リンパ節生検

受付日:2022年12月19日
受理日:2023年3月6日

肺癌 63 (3):206─211,2023

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